かつて、天と地のあわいが曖昧であった頃、
神々すら畏れる巨きな影が、大地を呑み、空を塞いでいた。
その名はヴリトラ。
七つの河を封じ、雨を牢に閉じ込め、
山を噛み砕き、雲を鎖で縛った、
巨蛇にして破滅の化身、邪悪なる竜。
民は渇きに苦しみ、
大地は裂け、草は枯れ、
子は泣き、母は祈り、
神々ですら、竜の圧に膝を屈した。
ヴリトラは笑った。
「天は我が鱗の下に沈み、大地は我が腹の中に埋もれよう。
神と人とを問わず、この世界に水は流れぬ。」
だが、その時。
雷鳴と共に、一柱の神が立ち上がった。
名をインドラという。
若き神、雷をその手に携えし、天空の王。
彼は飲み干した。
不死の霊薬・ソーマを三杯、否、千杯、
その身に満ちるは天地を震わせる力。
神々は語った。
「行くな、インドラよ。ヴリトラに挑むは死への道。」
だがインドラは応えた。
「沈黙のまま見過ごすならば、神の名に値せぬ。」
ヴァジュラ(雷霆)を掲げ、インドラは進む。
嵐を背に、戦の鼓動を胸に、
山を越え、谷を裂き、ヴリトラの封印のもとへと至る。
そして激突する、雷と蛇。
天が割れ、地が揺れ、空が紅に染まる。
ヴリトラの口より吐かれる黒き瘴気が、
世界を呑み込まんとするその瞬間。
「叫べ、雷よ。貫け、天の槍!」
インドラの叫びと共に、雷が閃いた。
ヴァジュラは迷いなく、ヴリトラの心臓を貫き、
その咆哮は山々を震わせ、
その血は七つの河となって流れ出した。
かくして水は解き放たれ、
河は大地を潤し、
空は澄み、人々は歌を取り戻した。
ヴリトラの骸は山と化し、
インドラの名は雷と共に語られ、
この戦いは、永劫に語り継がれることとなった。
それは神と竜の戦い、
それは渇きと恵みの交差点、
そして、世界に秩序が戻る始まりの詩。
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